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キーワード「日用品」
加盟店事例:さくらパートナーズ廣井社長に聞く
2019年3月6日に開催された日経フランチャイズショーの「メガジーセミナー 過去から学ぶ「フランチャイズ選びのポイント」のパネルディスカッションに参加された廣井社長(静岡県伊東市、さくらパートナーズ代表)にインタビューを行いました。
今回加盟店取材をさせていただいた株式会社さくらパートナーズ廣井社長は、住宅・不動産・コンビニエンスストアをフランチャイズ加盟されているマルチフランチャイジー。
基盤とする地元は、人口6万8000人の静岡県伊東市。
伊東市は、伊豆半島の東側の温泉観光地。観光地ではあるが、そこで地元女性向けのビジネスを展開している。
今回のフランチャイズショーの中でのお話しで中心に話されていたのがエステの話。
そのエステの対象も観光客ではなく、地元の女性。
20代~30代の地元の未経験女性を採用し、地元の女性向けのエステを展開している。
2018年9月初旬にプレオープンをし、開業1ヶ月そこそこで初期投資4000万円の50%超を売上金として回収してしまっているというのだ。
オープン前に従業員のトレーニング相手(モデル)としてお願いしていた地元の友人・知人を中心に8日間に100名近い方にご利用いただき、74%の方が継続利用の注文をしているという。
数字の詳細を述べるのは控えるが、にわかに信じがたい数字である。加盟店経営者も当初の計画の2倍以上の実績だという。
徹底した女性戦力化の教育システムに裏打ちされた実績
このフランチャイズ本部は、ミスエステというエステサロンフランチャイズを展開する彩グループ。
化粧品製造のブルーム・クラッシックを中核とする企業グループ。
創業は1987年。
これまでは既存のエステ店舗に商品とノウハウを販売するいわば相手先ブランドでの展開であったものを自社ブランド化して展開し始めている。
本部の社員教育のマニュアル類を拝見するだけで、この会社がいかに様々な哲学・経営学を学んで吸収してきているのかが良く分かった。
特に京セラの稲盛和夫の盛和塾の影響が濃く、その一つ一つを理解し仕組みに落としていることが見て取れる。
マニュアルや手帳には、それを分かりやすく社員の一人ひとりに腹に落ちるまで教育してきた歴史が、社員教育ツールに落とし込まれていた。
創業は28年前、同業種の会社から独立してスタートした際、社員は女性ばかり6名。
本部経営者は、その女性6名を28年間育成し続けてきて、今に至っている。
なぜ売らねばならないのか?売るということはどういうなのか?
仕事は何なのか?生きるとは何なのか?
仕事をはじめてする女性にもわかりやすく説明し、心の底から納得できる教育カリキュラムの根底は、本部のそのような歴史にあった。
ミスエステでは、フランチャイズ加盟契約の条件として、
・『加盟候補の社長が本部面談で合格を得る』だけでなく、
・『本部が合格を出せる店長候補を採用すること』
を掲げている。
また研修開始に至っては、
・『従業員6名を採用してから』
というルールもある。
良い人材を採用できる経営者であることが、加盟の条件になっているのだ。
そして何段階かある研修の初期のベーシック研修の2週間は、加盟店経営者自らも必ず参加することが実質的に義務付けられている。
女性向け店舗ビジネスですから、男性経営者は店がオープンしたのちには中々店舗内まで関与しにくいのが実状。
ゆえに最初の段階で、店長と一緒にベーシック研修の2週間に参加し、そもそもの美容理論、肌の構造や生体メカニズム、美容に関する関係法令法規制を徹底的に学ぶという。
そしてフェイシャルケアの第一歩のクレンジングの実務研修も受講する。
ここまでのベーシック研修の2週間を経営者自ら本業を差し置いて研修に参加出来るか出来ないか?が、結果として成功している加盟店の必須条件になっている。成功するには義務付けられていると考えるべきベーシック研修への参加である。
現場で起きる様々な事象に対して、店長の対応や判断が果たして正しいものであるのか?店長は何に悩んでいるのか?を本部だけでなく、加盟店経営者も正しく理解することが、重要だと本部は考えている。
これはどの商売でも同じなのだが、個々の人材の力以上に、店舗スタッフ全員のチーム力、チームワークが事業の成否を左右する。そのチームの中に加盟店経営者もしっかり入っていることが重要だとうことだ。本質である。
業態は強いが、従業員の教育とチーム作りは加盟店の責務となっているフランチャイズが多いが、こちらの場合は、チーム作りも仕組み化されている。
売れる仕組み、売れ続ける仕組みは『道具』と『商品』にあった
『肌解析システム』と『5歳刻みの化粧品』、『パワーツリー』の威力
そもそも男性は、エステの中身について詳しくないので少し説明をすると、エステ業界は、
・痩身(文字通り痩せることを目的としたサービス、機械やハンドマッサージによる)
・脱毛(ムダ毛の脱毛、機械による)
・フェイシャル(美肌化、ハンドマッサージや機械による)
・ボディ(リンパ改善、疲労回復、癒し、ハンドマッサージによる)
の4つに区分されるが、
ミスエステの場合は、フェイシャルとボディの業態です。
ボディは分かりやすいと思いますが、スタッフは結構な労力が必要です。そこで開発されたのが『パワーツリー』という道具。檜で出来た棒なのですが、これが小さな力で実に気持ちの良いものなのです。
この道具が、なんとフランスの美容のコンテストで優秀賞に選ばれるなどしています。
そして、化粧品製造メーカーが中核であるがゆえの特徴のが、独自に開発した『肌解析システム』による肌年齢の解析です。
マシンに顔を入れて測定すると、肌のキメ、毛穴、シミ、シワ、透明度の5項目がそれぞれに〇〇歳と年齢表示され、総合的肌年齢も〇〇歳と表示されるのです。
実際の年齢よりも悪く出ている部分があればそれを改善するための方法を提案出来るのです。
(↑アセンティアの松本(男性)の分析結果)
そしてエステを実施したのちに再度測定して、その効果を感覚ではなく「年齢」という数字表示で実感できる仕組みになっているのです。
さらに、肌に合った化粧品を提案するというコンセプトで、何と「5歳刻み」で化粧品が商品化されている。
最近テレビCM等で「30歳からの」とか「50歳からの」という触れ込みの化粧品を目にしますが、
同じ年齢でも肌の状態は明らかに個人差があります。
その個人差を単なる実年齢で判断するのは、そもそも無理がある。しかし、年齢に合わせた化粧品が必要ということで、肌解析+5歳刻み化粧品となったのです。化粧品メーカーならではのことです。
医者がレントゲンや血液検査をして診断して薬を処方するようなもので、肌解析をして化粧品を処方するという感覚なのです。
お客にとっても納得感があります。
効果実感や改善実感を持ちやすい仕組みになっています。
従業員の教育の仕組みに、このようなマシンと商品の仕組みがあるので、廣井社長の伊東店のように、お試しで利用した方々の74%が実際にお金を払って継続利用を決断していることにつながっているのです。
そんな業績を上げている伊東の加盟店の店長は、
「毎日毎日、お客様に感動をしていただき、自分も毎日感動できる」
と素直にこの仕事の楽しさを語ってくれた。
日々お客様に喜んでいただき、代金をいただき、お友達にも広がっていく・・・。
確かな技術・商品とツールに裏打ちされた仕組みなのだが、店長に成功のカギを伺うと、その回答は、技術・商品とツールではないと言う。
「お客様のことを本気で考えている」ということが伝わっているからだと。
スタッフの熱意と情熱
確かな技術・商品とツール。
ある意味これはエステの最低限品質なのかもしれません。
それに加えて、「自分のことを本気で考えてくれている」=サービスが大きな差別化になっているのだと店長は語ってくれました。
「チームワークが重要だ」と店長。
飲食店と違い、個室でのサービスなので、ついつい「一対一サービス」になりがちです。
そのサービス品質を一定以上に保つには、個々人の力量を超えた、店舗というチーム全体でのチームワークが重要となります。
女性だけの職場で、どのような組織風土を醸成すると良いのか?この部分も本部が構築した重要なノウハウなのです。
個人の目標とチームの目標、会社の目標、何よりもお客様の目標を上手にリンクさせるノウハウが、「自分のことを本気で考えてくれている人であり店だ」という思いをお客様に持っていただけることにつながっていると言います。そして、それがお客様の満足につながっていると店長もスタッフの一人ひとりも日々実感出来ているというのです。
エステを成功させるためのノウハウが各所に凝縮されているのを感じます。
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